フォトグラファー
赤いオーロラの写真をニュージーランド南島から

昭和39年(1964年)の夏に生まれた私は、日本の高度成長と共に育ちました。しかし、それに伴うツケは星が殆ど見えない状況へと変わります。
天の川を気軽に撮りに行くには和歌山や三重、奈良県の山間部に行かねばならず、片道3時間以上もかかります。
かと言って都会のネオンライトの影響が全くないわけではなく、追尾撮影した写真にも影響してしまいます。
往復6~7時間を費やし、現地では撮影のセットアップに1時間をかけていると、天候も考慮に入れると年に数回しか撮影に出られません。
そんな中、2月の夜半に辛うじて上って来る竜骨座の1等星カノープスが本当は青白い星だと知ります。
日本では真っ赤にしか見えない理由を調べると、それは夕日が赤くなる理由と同じだと知ります。そう大気汚染のレベルが酷い事を小学生の時に悟ります。
そう言えば暑くもないのに毎日光化学スモッグ注意報が発令され、外で遊ぶなと言われます。
工業地帯の煤煙や車の排気ガスが夕日を赤くしてしまうわけです。深刻な光害に、深刻な大気汚染では星は見えない。
カノープスが青白く見えるのは南半球だそうで、中学生の時に既に心は日本に有りませんでした。
候補は南アフリカやオーストラリア、アルゼンチンなどがありましたが、治安が良く危険な動物がいない国としてニュージーランド一本に絞りました。
するとどうでしょう、晴天時の夕日までもが真っ白で眩しいまま沈んでいきます。カノープスは当然真っ白。おまけに地磁気南極点がインド洋方面にズレている事からニュージーランド南端部は度々オーロラが出現する事を知ります。地平線まで見渡せる美しい空気のお陰でもあります。
Spaceweather.comのTOPページを飾ったものや、NASAの「今日の一枚」であるAPODに2度も選出された写真も含まれています。
宜しければお部屋に深紅のオーロラや唯一無二の彗星の写真を飾ってやって下さい。
米戸 実(よねと みのる)